岳沢の惨状



岳沢は、穂高連峰から梓川方面にある斜面で、河童橋や上高地小梨平からよく見えます。
穂高の山々が囲むようにある涸沢カールは、この正反対の場所にあります。
つまり涸沢と岳沢は、表裏の存在とも言えます。
岳沢からのルートとは、前穂高岳から奥穂高岳へ至る道でありますし、また、
奥穂高から吊尾根を渡り、前穂高岳山頂の下にある紀美子平、そして岳沢を下り上高地へ至るという場合もあります。

今季2006年の冬は、記録的な豪雪で、岳沢付近では大規模な雪崩や土砂崩れがあったようです。
岳沢には山小屋がありましたが、随分被害が大きかったようです。
岳沢のルートは使用不能に近いという噂もありましたが、少し時間があったので、岳沢を登ってみることにしました。



河童橋から上高地遊歩道を歩き、途中に分岐している岳沢への登山道へ入る。
沢へ出るまでは、森林帯の快適な登山道でよく整備されていた。
しかし一歩岳沢に入ると、登山道はの様相は劇的に変化した。
登山道であるどころか、マーキングもトレースもない。あっても全く判別できない状況であった。
あちこちに大木が転がり、雪崩の跡(デブリ)が大量に、しかも変化に富んだ形で拡散していた。

倒木と雪崩のデブリを何度も避けながら上へ登るが、普通に真っ直ぐ登れない。
デブリで固まった斜面は非常に急な所もあり、全く整備清掃はされていない状況であった。
迂回に次ぐ迂回を重ねるが、雪は固く少し掘ってみると、その下は氷のようになっていた。
雪の斜面は急で、できるだけ緩やかなコースを採りながら進む。
ピッケルとアイゼンが無いと難しい登りが多く、巨大なデブリの斜面や倒木を除けるのに多くの時間と労力を費やした。

雪崩の威力とは凄いと改めて感じた。大木が根元から寸断されていたり、見事に折れ曲がっていた。
ある程度進むとガレ場と雪斜面が交互に現れる。
ガレ場の石は非常に浮きだっており、簡単にグラグラ揺れ出す。
雪のある所まで進んで改めて登りたかったが、その迂回にも時間が多くかかりそうであり、
また、天候も曇ってきたので、ここで引き返すことにした。

下りは登りより非常に楽であったが、自分のトレースさえ簡単に見失う程にデブリが視界の邪魔をする。
また上りと下りとでは、全く安定感が違っていた。デブリの急な斜面はトレースがあっても無理に行けないくらい怖かった。
障害物や安全そうな斜面を選びながら進むのに、ひたすら神経を使う。
結局、登りのトレースを殆ど踏まず、岳沢に入った木橋まで辿り着く。
その木橋を発見するにも、何度か登り始めの記憶を呼び起こしながら見つけた次第であり、見つけた時は安堵した。

想像以上に岳沢は荒れていた事に驚いた。
早く快適かつ安全なる復旧と、山小屋の再建を心から祈る次第でありました。




岳沢の拡大写真 上高地河童橋から見た岳沢と穂高連峰(2006年5月21日)
2006年4月の山開け直後の岳沢と穂高連峰


【 注 意 】
この写真は執筆者自身が2006年5月に撮影したものです。

従って、このポイントはその当時の様子です。コースの十分な下調べをしてから安全な登山計画を立てましょう。

山岳保険に加入し、登山計画書を提出しましょう。

本家 摩訶不思議インデックス ウホッ!いいお山!

top index
Copyright© Hiroyuki-Matsumoto. All Rights Reserved. Never reproduce or republicate without written permission
製 作 者 ニ 許 可 無 ク 文 書 及 ビ 画 像 ノ 無 断 借 用 ヲ 禁 止 ス ル 。

E-mail address<電子メール宛先> grease-monkey@mue.biglobe.ne.jp